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報告書

令和4年度原子力発電所周辺における航空機モニタリング(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 長久保 梓; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 圷 雄一郎*; 新井 仁規*; et al.

JAEA-Technology 2023-027, 146 Pages, 2024/03

JAEA-Technology-2023-027.pdf:18.12MB

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。日本原子力研究開発機構では、有人ヘリコプターを使用した航空機モニタリングを福島第一原子力発電所周辺において継続的に実施してきた。本報告書では、令和4年度に実施した福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果について取りまとめると共に、過去のモニタリング結果から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。また、航空機モニタリングによる空間線量率の換算精度向上に資するために、航空機モニタリングデータを用いて地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮に入れる前後での解析結果を比較し、本手法による精度向上効果を評価した。さらに、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用して、空気中のラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響について評価した。

報告書

原子力防災を中心とした専門用語に関する和英対訳の調査と提案

外川 織彦; 奥野 浩

JAEA-Review 2023-043, 94 Pages, 2024/03

JAEA-Review-2023-043.pdf:1.53MB

日本語で記載された原子力防災分野の文書を英語に翻訳するために、災害対策基本法、原子力災害対策特別措置法及び原子力の安全に関する条約について、日本語と英語の対訳を調査した。調査結果を統合し、統一的な英対訳を選択した。この結果として、原子力防災分野における専門 用語の和英対訳表を作成し、提案した。

報告書

原子力災害時における避難退域時検査と除染基準に関する調査と考察

外川 織彦; 外間 智規; 平岡 大和; 齊藤 将大

JAEA-Research 2023-011, 78 Pages, 2024/03

JAEA-Research-2023-011.pdf:2.09MB

原子力災害時に大気へ放射性物質が放出された場合には、住民等の被ばくを低減するための防護措置として、自家用車やバス等の車両を利用して避難や一時移転が実施される。避難等を実施した住民等や使用した車両の汚染状況を確認することを目的として、原子力災害対策重点区域の境界周辺から避難所までの経路途中において避難退域時検査が行われる。その際に、我が国では表面汚染密度の測定によるOIL4=40,000cpmという値が除染を講じる基準として用いられる。しかし、この値が設定された経緯や導出方法については、系統的かつ詳細な記述や説明は公式文書には見受けられず、また原子力防災の専門家でさえも全体に亘って詳細に説明できる人はほとんどいないことを認識した。本報告書では、我が国の避難退域時検査における除染の基準として用いられるOIL4を科学的・技術的に説明するために、その導出方法を調査・推定するとともに、それらの結果について検討と考察を行うことを目的とした。この目的を達成するために、我が国における除染基準を設定する上での根拠を示すとともに、被ばく経路毎の線量基準に対応した表面汚染密度限度を導出する方法を調査・推定した。さらに、我が国におけるOIL4の位置付けと特徴、OIL4の改定時における留意点という観点から、OIL4に関する考察と提言を行った。

報告書

大気-土壌-植生モデルSOLVEG-Rを用いたOSCAARの再浮遊評価モデルの改良(受託研究)

中西 千佳*; 太田 雅和; 廣内 淳; 高原 省五

JAEA-Research 2023-012, 29 Pages, 2024/02

JAEA-Research-2023-012.pdf:6.05MB

OSCAARプログラムは日本原子力研究開発機構で開発した原子炉事故の確率論的リスク評価プログラムである。OSCAARプログラムに含まれる、土壌表面に沈着した放射性核種の再浮遊による長期被ばくに関するモデルを改良するために、セシウム137の再浮遊係数を計算した。再浮遊係数の計算には、大気-土壌-植生の一次元モデルSOLVEG-Rを用いた。風速は粒子の再浮遊挙動に影響の大きい気象因子であることから、風速一定とした場合の再浮遊係数の年平均値を計算した。高さ1mにおける再浮遊係数の年平均値は、風速6m s$$^{-1}$$未満では変動幅が比較的小さく、風速6m s$$^{-1}$$以上では風速の上昇に対応して顕著な増加傾向を示した。風速1m s$$^{-1}$$から7m s$$^{-1}$$での再浮遊係数の値は10$$^{-9}$$から10$$^{-7}$$ m$$^{-1}$$の範囲内であった。

報告書

原子力災害時における甲状腺中放射性ヨウ素放射能の簡易測定のスクリーニングレベル見直しに係る検討

外間 智規; 木村 仁宣; 外川 織彦

JAEA-Research 2023-010, 57 Pages, 2024/02

JAEA-Research-2023-010.pdf:3.29MB

原子力災害時に住民の甲状腺中放射性ヨウ素放射能の簡易測定を行うことが計画されている。簡易測定にはスクリーニングレベル:0.20$$mu$$Sv/hが目安として設定されており、原子力災害等の状況に応じて適切に見直すこととされている。しかしながら、スクリーニングレベルの見直しに関する具体的な方針は定められていない。スクリーニングレベルの見直しについては、甲状腺内部被ばく線量の判断レベルや簡易測定の実施期間等、簡易測定の可否に係る要因について考慮する必要がある。本研究では、スクリーニングレベル:0.20$$mu$$Sv/hの設定根拠を整理するとともに、原子力災害時におけるスクリーニングレベル見直しの実行性について考察を行った。スクリーニングレベルを0.025$$sim$$0.50$$mu$$Sv/hの範囲で見直した場合の判断レベルと実施期間との関係を計算し、スクリーニングレベル見直しの実行性について考察を行った。その結果、スクリーニングレベルの見直しについては、適切な判断レベルと実施期間を選択しなければならないという技術的な制約はあるものの実行可能であることが分かった。しかしながら、原子力災害時の簡易測定の実際を想定した場合、スクリーニングレベル見直しについては、実施期間の延長が必要な状況において0.030$$sim$$0.20$$mu$$Sv/hの範囲で設定することが妥当であろうと評価した。

論文

Behavior of radiocesium ($$^{137}$$Cs) on the coastal seafloor near the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant inferred from radiocesium distributions in long cores

中西 貴宏; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 尻引 武彦; 卜部 嘉*; 眞田 幸尚

Journal of Coastal Research, 116(SI), p.161 - 165, 2024/01

2012年から2022年までに福島第一原子力発電所(FDNPP)周辺で観測された表層海底堆積物中のCs-137濃度の連続データをとりまとめた結果、全体的にCs-137濃度は時間とともに徐々に低下していた。しかし、浅海域のいくつかのモニタリングポイントでは、Cs-137濃度の長い環境半減期や大きなばらつきが認められた。浅海域海底におけるセシウムの動態についての理解を深めるために、FDNPP近くの浅海域で長尺の堆積物コアを採取し、Cs-137濃度と粒径分布の鉛直分布を得た。海岸付近では、Cs-137の濃度と粒径分布は数十cmから1m以上の深さまで非常に均一化されていたことから、現在、海岸付近の堆積物には深い層に相当量のCs-137が蓄積している。陸域だけでなく深層からのCs-137供給が、海岸付近の表層海底土のCs-137濃度の時間的低下を抑制している可能性が示唆された。沖合の崖や窪地に位置する地点ではCs-137濃度の鉛直分布は不均質であり、数年間に同一地点で得られたCs-137鉛直分布はまったく異なっていた。この不均質性が、表層堆積物のCs-137濃度の経時的な大きな変化を引き起こすと推測された。

論文

Sequential loss-on-ignition as a simple method for evaluating the stability of soil organic matter under actual environmental conditions

佐藤 雄飛*; 石塚 成宏*; 平舘 俊太郎*; 安藤 麻里子; 永野 博彦*; 小嵐 淳

Environmental Research, 239(Part 1), p.117224_1 - 117224_9, 2023/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)

土壌有機物(SOM)の安定性は地球上の炭素循環や気候変動問題を理解する上で重要な研究課題である。本研究では段階的昇温過程を経た強熱減量法(SIT-LOI)がSOMの安定性の評価に対する利用可能性を検証するため、日本各地で採取した有機物及び無機物の各含有率並びに放射性炭素分析に基づくSOMの平均滞留時間(MRT)のそれぞれが異なる土壌試料を用いた検証実験を実施した。本実験の結果、SIT-LOIデータはSOMのMRTと強い相関を示した。これはSIT-LOIデータが実環境におけるSOMの安定性に対する指標となることを示唆するものである。

論文

Quantitative visualization of a radioactive plume with harmonizing gamma-ray imaging spectrometry and real-time atmospheric dispersion simulation based on 3D wind observation

永井 晴康; 古田 禄大*; 中山 浩成; 佐藤 大樹

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1345 - 1360, 2023/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)

放射性プルームの3次元分布を定量的に可視化するとともに放射性核種の放出量を推定する革新的なモニタリング手法を提案し、その実現性を予備的な試験により確認した。提案する手法は、電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)によるガンマ線画像分光測定とドップラーライダーによる3次元風速測定に基づくリアルタイム高分解能大気拡散シミュレーションを組み合わせている。複数箇所に設置したETCCで測定された放射性プルーム中の個々の放射性核種からのラインガンマ線画像とリアルタイム大気拡散計算による大気中濃度分布情報を融合した逆解析により、放射性核種ごとの3次元濃度分布を再構成する。大気拡散シミュレーションと放射線輸送計算で生成した仮想的な実験データを用いた試験により、試作した解析手法が十分な性能を有することを示した。

論文

福島第一原発港湾から流出した放射性ストロンチウム$$^{90}$$Sr($$^{89}$$Sr)量の経時変化の推定; 原発事故から2022年3月までの流出量変化の分析と福島沿岸および沖合への環境影響評価

町田 昌彦; 岩田 亜矢子; 山田 進; 乙坂 重嘉*; 小林 卓也; 船坂 英之*; 森田 貴己*

日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(4), p.119 - 139, 2023/11

本論文では、2013年6月から2022年3月までの福島第一原子力発電所(1F)港湾からの$$^{90}$$Srの月間流出量を、港湾内の$$^{90}$$Srのモニタリング結果からボロノイ分割法を使用して推定した。その結果、2015年の海側遮水壁閉合が、流出量の削減に最も効果的であったことがわかった。また、福島沿岸および沖合のバックグラウンドレベルから放射能濃度の上昇を観察するために必要な月間流出量を推定し、事故後の流出量の変遷と沿岸および沖合での放射能濃度の変化について議論した。これらの結果は、1Fに蓄積された処理水の今後の放流計画に対する環境影響を考慮する上で重要と考えられる。

論文

Root endophytic bacterial and fungal communities in a natural hot desert are differentially regulated in dry and wet seasons by stochastic processes and functional traits

谷口 武士*; 磯部 一夫*; 今田 省吾*; Eltayeb, M. M.*; 赤路 康朗*; 中山 理智; Allen, M. F.*; Aronson, E. L.*

Science of the Total Environment, 899, p.165524_1 - 165524_13, 2023/11

 被引用回数:3 パーセンタイル:84.15(Environmental Sciences)

乾燥地の生態系は強度の乾燥と適度な降水の季節的なサイクルを経験する。乾燥地の植物は典型的にはパッチ状に分布しており、多くは繰り返す乾湿ストレスを生き抜くために根の内生微生物と共生している。群集合体は多くのシステムで見出されているが、乾燥地における機能微生物によるコロニー形成や季節の移り変わりとの関係は不明である。ここでは、米国南西部の高温砂漠における乾季と雨季の根の内生微生物分類群、およびその根のコロニー形成と関連した形質を調べた。5種類の砂漠性低木について、16S rRNAおよびITSの遺伝子プロファイリングを行い、内生微生物系統の季節変化を分析した。また、微生物形質との関係における中立的な群集モデルへの適合度を評価した。夏には、属特異的ではないものの、放線菌(グラム陽性菌)が増加した。真菌類では、夏に糸状菌が選択的に増加した。冬期には、窒素固定や植物成長促進を行うグラム陰性菌属が増加した。中立モデル解析の結果、内生細菌については確率的な影響が強いが、菌類については特に夏季に弱い影響が見られた。中立モデルで予測された頻度よりも高い頻度を示した分類群は、環境適応性と共生形質を共有していたが、病原性真菌の頻度は予測値以下であった。これらの結果は、細菌と真菌の群集形成が異なる制御を受けていることを示唆している。細菌群集は、乾燥に対する細菌の反応(反応形質)と植物に対する有益な効果(効果形質)を介して、確率的および決定論的なプロセスの影響を受けていた。菌類については、夏期に菌根菌が植物によって選択された。乾季と雨季の両方で植物による有益な微生物の制御が行われていることから、この砂漠の自然生態系には植物-土壌の正のフィードバックが存在することが示唆された。

論文

Application of Bayesian machine learning for estimation of uncertainty in forecasted plume directions by atmospheric dispersion simulations

門脇 正尚; 永井 晴康; 吉田 敏哉*; 寺田 宏明; 都築 克紀; 澤 宏樹*

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(10), p.1194 - 1207, 2023/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:72.91(Nuclear Science & Technology)

大気拡散シミュレーションにより原子力事故の緊急対応を支援する場合、予測結果と合わせて結果の不確実性を提供する必要がある。本研究では、予測結果のプルームの拡散方向の不確実性をベイズ機械学習に基づいて推定する手法を開発する。機械学習用のトレーニングデータおよびテストデータは、原子力施設からのセシウム137の仮想放出を考慮したシミュレーションを2015年から2020年の期間で毎日実行することで作成された。不確実性推定に対する本手法の有効性を調べたところ、36時間後の予測においても不確実性の予測可能性は50%を超えたことから、本手法の有効性が確認された。また、不確実性が大きいと判定されたプルームの拡散方向も、本手法によって極めて良好に予測された(予測期間において不確実性を妥当に判定しなかった割合は0.9%-7.9%)。一方で、本手法により不確実性が過大に予測された割合は最大で31.2%となったが、これは許容できると考えられる。これらの結果は、本研究で開発されたベイズ機械学習による不確実性推定の手法が、大気拡散シミュレーションによって予測されたプルームの方向の不確実性を効果的に推定していることを示している。

論文

都市域での放射線テロ対策の最前線,2; 局所域高分解能大気拡散・線量評価システムLHADDASの開発と放射線テロ対策への応用

中山 浩成; 佐藤 大樹

日本原子力学会誌ATOMO$$Sigma$$, 65(10), p.621 - 624, 2023/10

局所域高分解能大気拡散・線量評価システムLHADDASは、現実気象条件下で建物影響を考慮した放射性物質の大気拡散の詳細評価が可能なLOHDIM-LES、建物遮蔽効果を考慮して迅速に空間線量率評価が可能なSIBYL、及び都市大気拡散の即時解析が可能なCityLBMの計算コードを統合したシステムであり、ユーザの目的に応じて計算コードの柔軟な選択が可能である。このため、LHADDASは、原子力施設の立地審査のための従来手法に代わるより現実的な事前解析、原子力緊急時対応のための対策立案や影響評価、都市市街地拡散テロにおける即時解析など局所域大気拡散の様々な課題の解決に活用できる。応用事例として、警察庁科学警察研究所との共同研究「LHADDASを用いた放射線テロ対策シミュレーション」の実施内容を紹介する。

論文

Effect of soil organic matter on the fate of $$^{137}$$Cs vertical distribution in forest soils

小嵐 淳; 安藤 麻里子; 西村 周作

Ecotoxicology and Environmental Safety, 262, p.115177_1 - 115177_9, 2023/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)

日本の森林土壌における放射性セシウム($$^{137}$$Cs)の深度分布の将来を把握することは、福島第一原子力発電所事故の環境影響を評価する上で重要である。本研究では、土壌有機物の濃度プロファイルが最終的な$$^{137}$$Csの深度分布を決定するという仮説を立て、土壌有機物プロファイルが異なる森林土壌における大気圏核実験起源$$^{137}$$Csの約半世紀後の深度分布を調べることでその仮説を検証した。その結果、土壌層の$$^{137}$$Cs保持能力は、調査地や土壌深度にかかわらず土壌有機炭素濃度の関数として表せることが示された。このモデルを用いることで日本の森林土壌における最終的な$$^{137}$$Cs深度分布を予測できることを示した。

論文

7.2 放出源情報

寺田 宏明

点発生源からのメソスケール拡散シミュレーション; 福島第一原子力発電所事故をふまえて(気象研究ノート第248号), p.115 - 121, 2023/09

大気拡散モデルの検証に必要な入力データのうち放出源情報について述べる。ここでは、福島第一原子力発電所事故時の放出源情報として、日本原子力研究開発機構により大気拡散計算結果と環境モニタリングデータの比較に基づき推定された成果から、Katata et al. (2015)とTerada et al. (2020)について推定手法の概要と推定結果の特徴を解説する。Katata et al. (2015)では、新たに公開された環境モニタリングデータと沈着計算を精緻化した大気拡散計算により主要な放射性核種($$^{137}$$Cs, $$^{134}$$Cs, $$^{131}$$I, $$^{132}$$Te)の放出率が逆推定され、従来の研究では不明であった事故初期の放出率の詳細な時間変化が明らかとなった。Terada et al. (2020)では、ベイズ推計に基づく統計的な最適化手法が導入され、大気中濃度,地表沈着量,日降下量の複数種の測定データを用いて従来の推定による放出率推移が最適化された。この再推定では、新たに公開された$$^{137}$$Cs大気中濃度の多地点連続データが活用され、このデータとベイズ推計を組み合わせた解析手法により放出率だけでなく気象場も改善された。

論文

緊急時放射能影響予測システム(SPEEDI, WSPEEDI)

永井 晴康; 茅野 政道*

点発生源からのメソスケール拡散シミュレーション; 福島第一原子力発電所事故をふまえて(気象研究ノート第248号), p.1 - 58, 2023/09

原子力機構は、国内外の原子力事故時に大気放出される放射性物質による影響を評価するために緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIおよびその世界版WSPEEDIを開発した。これらのシステムは、実際に発生した原子力事故への対応をはじめ、様々な大気拡散事象に応用され、多くの実績を上げてきた。ここでは、これらのシステム開発の経緯と概要、システムの検証、そしてシステムの利用実績について解説する。

報告書

原子力災害時における車両の汚染状況と除染措置に関する調査と検討

外川 織彦; 外間 智規; 平岡 大和

JAEA-Review 2023-013, 48 Pages, 2023/08

JAEA-Review-2023-013.pdf:2.11MB

原子力災害時に大気へ放射性物質が放出された場合には、住民等の被ばくを低減するための防護措置として、自家用車やバス等の車両を利用して避難や一時移転が実施される。避難等を実施した住民等の汚染状況を確認するため避難退域時検査が行われるが、その迅速性を損なわないことが重要である。現状の検査では、車両の指定箇所検査をワイパー部とタイヤ側面で実施し、要員によるGMサーベイメータ等の表面汚染検査用測定器で検査することを基本としている。また、車両の迅速かつ効率的な検査実施のため、可搬型車両用ゲート型モニタの活用も計画されているところである。本報告書では、迅速かつ効率的な避難退域時検査に資するため、原子力災害時における車両の汚染状況と除染措置に関する調査を実施した。利用可能な関連文献や情報はごく少数であったが、当該文献等に記載された調査結果を目的に応じて抽出して整理するとともに、避難退域時検査の迅速かつ効率的な運用という観点からその調査結果について検討を行った。

論文

Plastic-associated metal(loid)s in the urban river environments of Mongolia

Battulga, B.; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; Bolormaa, O.*; 川東 正幸*

Ecotoxicology and Environmental Safety, 261, p.115100_1 - 115100_10, 2023/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)

河川環境に広がるプラスチックは、環境汚染の主要な要因の一つである。本研究では、モンゴルのトゥール川周辺で採取した発泡ポリスチレン(PSF)プラスチックに付着した金属を調査した。金属のサイズ依存性は、PSFが都市の河川環境における汚染物質の指標となることを示した。PSFに蓄積されたAl, B, Cr, Cu, Mn, Mo, Na, Ni, Pb及びZnの平均濃度は、1967.0$$pm$$169.1、116.0$$pm$$25.7、12.7$$pm$$6.6、35.0$$pm$$7.6、9.8$$pm$$6.0、6.3$$pm$$1.3、1506.8$$pm$$282.8、0.4$$pm$$0.3、10.2$$pm$$5.0及び103.1$$pm$$28.5$$mu$$g/gであった。本研究結果により、広範囲に広がったプラスチックが環境中で有害化学物質のキャリアの1つになる可能性があることが示された。

論文

Soil dust and bioaerosols as potential sources for resuspended $$^{137}$$Cs occurring near the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant

太田 雅和; 高原 省五; 吉村 和也; 長久保 梓; 廣内 淳; 林 奈穂; 阿部 智久; 舟木 泰智; 永井 晴康

Journal of Environmental Radioactivity, 264, p.107198_1 - 107198_15, 2023/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所(FDNPP)事故時に環境中に放出され、陸面に沈着した放射性核種について、大気中に再浮遊した$$^{137}$$Csの吸引は現在における主要な被ばく経路の一つである。再浮遊では、風による土壌粒子の巻き上げが主なメカニズムとされてきた。一方、FDNPP事故後の研究から、帰宅困難区域(DRZ)などの農村部においては、真菌類による胞子放出が大気中$$^{137}$$Cs濃度に影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。本研究は、土壌粒子および真菌類胞子としての$$^{137}$$Cs再浮遊を計算するモデルを開発し、これをDRZ内に適用することで、これら再浮遊過程の大気中濃度への影響評価を試みた。モデル計算の結果から、土壌粒子の再浮遊は冬から春に観測された大気中$$^{137}$$Csの主要因となったものの、夏から秋に観測された高濃度を再現できないことが示された。真菌類からの胞子状$$^{137}$$Csの放出を考慮することで、この夏から秋の高濃度事象は概ねモデルで再現された。解析結果から、真菌類胞子への$$^{137}$$Csの蓄積と、農村部に特徴づけられる高い胞子放出率が夏から秋の大気中$$^{137}$$Csに寄与している可能性が見出された。DRZ内には依然として未除染の森林が存在しているため、この真菌類胞子の大気中$$^{137}$$Csへの寄与は今後将来も継続する可能性がある。

論文

Dependency of the source term estimation method for radionuclides released into the atmosphere on the available environmental monitoring data and its applicability to real-time source term estimation

寺田 宏明; 永井 晴康; 門脇 正尚; 都築 克紀

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.980 - 1001, 2023/08

 被引用回数:4 パーセンタイル:98.08(Nuclear Science & Technology)

原子力事故により大気放出された放射性核種の放出源情報と環境中時間空間分布の再構築手法の確立が緊急時対応に必要である。そこで、大気拡散シミュレーションと環境モニタリングデータを用いたベイズ推定に基づく放出源情報推定手法の様々な環境モニタリングデータの利用可能性に対する依存性を調査した。さらに、事故直後に実施するリアルタイム推定への本手法の適用性を調査した。様々な環境モニタリングデータの組み合わせに対する福島第一原子力発電所(1F)事故の放出源情報推定結果の感度解析から、正確な放出源情報推定には高い時間空間分解能のデータの利用と大気中濃度と地表沈着量の両方のデータの利用が有効であることが示された。また、1F事故時の環境モニタリングデータ取得状況に適用された仮想的なリアルタイム推定実験により、本手法は、地表汚染の概況の早期把握とおおよその事故規模の評価に必要な放出源情報を推定可能であることが明らかとなった。環境モニタリングデータの即時オンライン取得と、計算出力データベース蓄積のための大気拡散計算の運用システムが整備されれば、本手法により放出源情報の準リアルタイム推定が可能となる。

論文

Thirty-year prediction of $$^{137}$$Cs supply from rivers to coastal waters off Fukushima considering human activities

池之上 翼; 嶋寺 光*; 中西 貴宏; 近藤 明*

Water (Internet), 15(15), p.2734_1 - 2734_18, 2023/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所事故は沿岸海域における堆積物への$$^{137}$$Csの蓄積を引き起こした。また、河川から海洋への$$^{137}$$Csの供給は沿岸海域における堆積物中の$$^{137}$$Csの長期的な挙動に影響を与える可能性がある。福島沿岸の河川流域には大規模な除染地域や避難指示地域が含まれているため、除染作業や農業再開を考慮することは$$^{137}$$Csの供給量を予測する上で重要である。そこで本研究は、これらの人間活動の影響を考慮した分布型放射性セシウム予測モデルを用いて、福島沿岸河川から海洋への$$^{137}$$Cs供給量の30年間の予測を実施した。結果として、除染地域と避難指示地域のある河川流域では人間活動により、農地、市街地、森林から河川への$$^{137}$$Csの流出量は5.0%、海洋への$$^{137}$$Cs供給量は6.0%それぞれ減少すると推定された。これらの結果は、人間活動が$$^{137}$$Csの流出と供給に与える影響は小さかったことを示している。事故の影響を受けた河川から海底堆積物への$$^{137}$$Cs供給量は、事故初期の沿岸海域における堆積物中の$$^{137}$$Csの存在量に対して11%から36%に相当すると推定された。したがって、沿岸海域における堆積物中の$$^{137}$$Csの長期的な挙動には河川から海洋への$$^{137}$$Cs供給が重要なプロセスであることが示唆された。

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